強度などはお口の中の状態、人によって異なります。自分に適した詰め物をいれることで長くお使いいただけると思いますので、よく担当医とご相談ください。

1. ジルコニアクラウン
ジルコニアとは
- 材質: ジルコニア(酸化ジルコニウム)というセラミックの一種。
- メリット:
- 白い金属というほど非常に硬く、耐久性が高い。(人工ダイヤモンド)
- 金属を使用していないため、金属アレルギーの心配がない。
- 自然歯に近い色合いを再現できるため、審美性が高い。
- デメリット:
- ほぼデメリットはない。
- 保険適用外である。

特徴 ▶迷ったらこれ。奥歯には間違いのないかぶせ物、最近は前歯も審美性が高い
ジルコニアクラウンは、ジルコニア(酸化ジルコニウム)という非常に硬くて強度の高いセラミック素材を使用して作られた歯の修復材です。
最近ではジルコニアは白く、自然歯に近い色合いを持つため、審美的にも優れています。
主に奥歯の修復に使用されますが、その強度から前歯などにも応用されています。ブリッジにも非常に優れています。

- 高い強度と耐久性:
- ジルコニアは、金属と同等かそれ以上の強度を持ち、非常に耐久性が高いです。硬度が高いため、咀嚼圧に耐え、長期間の使用に適しています。
そのためかみ合わせが強い、歯ぎしりをよくする、くいしばりがある方にはとてもよい素材です。 - 他のプラスチック(保険のCADCAMなど)に比べて薄く加工できるため、歯を削る量を最小限に抑えることができます。これにより、歯をより多く保存できるのが利点です。
- ジルコニアは、金属と同等かそれ以上の強度を持ち、非常に耐久性が高いです。硬度が高いため、咀嚼圧に耐え、長期間の使用に適しています。
- 審美性:
- 今では自然な歯に近い色合いを再現できるため、治療後もほとんど目立ちません。金属を使用していないため、歯ぐきが黒ずむこともありません。
ただしセラミックのほうが歯に近い透明感があるため審美性を重視する方はセラミックをおすすめします。
- 今では自然な歯に近い色合いを再現できるため、治療後もほとんど目立ちません。金属を使用していないため、歯ぐきが黒ずむこともありません。
- 生体適合性:
- ジルコニアは生体適合性が高く、アレルギー反応を起こしにくい素材です。金属アレルギーの心配がないため、金属アレルギーの患者さんにも適しています。
- 耐摩耗性:
- 非常に硬い素材のため、ジルコニア自体が摩耗することは少ないです。
- 寸法安定性:
- ジルコニアは温度変化による膨張や収縮が少なく、口腔内の温度変化にも安定しています。このため、クラウンと歯との間に隙間が生じるリスクが低く、虫歯の再発を防ぐ効果があります。
デメリットと考慮点
費用: ジルコニアクラウンは、保険適用外であるため、自費治療となります。これは材料のコストだけでなく、加工の難しさや高精度な製作プロセスにも起因します。
対合歯への影響: ジルコニアの硬さは利点でもありますが、対合歯を摩耗させることがあります。(注:通常の歯同士でも歯は摩耗します)
加工の難しさ: ジルコニアは非常に硬いため、加工が難しく、製作には高度な技術と専用の機器が必要です。当院では長年信頼のおける技工所にて制作しております。
2. セラミッククラウン
セラミックとは
- 材質: リチウムディシリケートガラスセラミック。
- メリット:
- 自然歯に非常に近い透明感と色合いを持つため、審美性が高い。
- 強度と耐久性が高く、割れにくい。
- デメリット:
- 保険適用外である。
- 非常に硬いが、ジルコニアほどではないため、割れる可能性がある。
特徴 ▶ほぼ歯と同じ色でとてもきれい、耐久性もあり。咬む力が強い人はジルコニアを。
セラミッククラウン(E-maxクラウン)は、リチウムディシリケートガラスセラミックを使用して作られた審美性と強度に優れた歯科用修復材です。セラミックは、高い透明度と自然な色調を持つことから、特に審美性が求められる歯の修復に適しています。主に前歯や奥歯のインレー、クラウン、ベニアとして使用されます。

- 優れた審美性:
- セラミッククラウンは、自然歯に非常に近い透明感と色合いを持ち、他のセラミック素材と比べても非常に美しい仕上がりが特徴です。歯の内部からの光の透過性が高いため、自然な見た目が得られます。
- 高い強度:
- リチウムディシリケートガラスセラミックは、セラミックの中でも特に強度が高く、割れにくい素材です。このため、咀嚼圧に耐えやすく、奥歯の修復にも適しています。
- 生体適合性:
- セラミッククラウンは金属を使用していないため、金属アレルギーのリスクがありません。さらに、セラミック自体の生体適合性も高く、歯ぐきとの相性も良好です。
- 歯の削除量が少ない:
- セラミッククラウンは、他のプラスチック(保険のCADCAMインレーなど)に比べて薄く加工できるため、歯を削る量を最小限に抑えることができます。これにより、歯をより多く保存できるのが利点です。
- 接着強度:
- 自費専用の接着剤を用いて、セラミッククラウンは非常に強固に歯に接着されます。このため、二次的な虫歯のリスクが低減されます。
デメリットと考慮点
- コスト: セラミッククラウンは、保険適用外になり自費治療となります。これは、素材自体のコストだけでなく、高度な技術を要する製作プロセスも関係しています。
- 加工の難易度: セラミックは強度が高い反面、加工には専用の機器と高度な技術が必要です。これにより、製作の際に時間とコストがかかることがあります。
- 耐久性: セラミッククラウンは非常に強度が高いですが、非常に硬い咬合力が加わる場所では稀に破損するリスクがあるため、咬み合わせの確認が重要です。
3. ジルコニアセラミッククラウン
ジルコニアセラミックとは
- 材質: ジルコニアとセラミックの貼り合わせた素材。
- メリット:
- 自然な色合いを再現可能。咬む面はジルコニアで作るため耐久性がセラミックより高い。
- デメリット:
- ほぼデメリットはなし
- ジルコニアとセラミックの境目が欠ける可能性がある。(相当な衝撃で)
特徴 ▶審美性も耐久性も重視した今一番きれいな方法
- 強靭な硬さと審美性:
- ジルコニア(強度)とセラミック(審美性)を併せ持った今一番きれいな方法となります。

デメリットと考慮点
- 耐久性:
- 純粋なジルコニアと比較すると、耐久性がやや劣ります。特に強い咬合力がかかる奥歯では、咬む面をジルコニア、外側をセラミックにすることをおすすめします。
- コスト:
- 高度な技術とコストを必要とするため、当院では長年自費診療の技工を担当している信頼のおけるラボラトリーにて製作を行っております。
4.メタルセラミッククラウン
メタルセラミックとは
- 材質:金属の上にセラミックを盛った昔からあるかぶせ物で信頼性は抜群にある。
- メリット:
- 弾性があり、対合歯に優しい。
- セラミックよりも価格が安い。
- 自然な色合いをある程度再現可能。
- デメリット:
- 耐久性がジルコニアなどに比べて劣る。
- 保険適用外。
特徴 ▶ジルコニアやセラミックに手は出せないけど白くしたい、そこそこもたせたい方
- 適度な強度と柔軟性:
- メタルセラミックは、ジルコニアほどの強度はないものの、歯にかかる負担が軽減され、対合歯(噛み合う歯)を傷つけにくいです。
- 審美性:
- セラミックを含んでいるため、自然な歯の色調に近い仕上がりが得られます。特に審美性が求められる部分において、金属製の修復材よりも目立ちません。
- 保険のプラスチック(CADCAMクラウン)よりも色調が歯に合います。
- コスト:
- ジルコニアやセラミックに比べてコストが抑えられることが多い。
- 耐摩耗性:
- 長期間使用すると、表面が摩耗し、セラミックが失われることがあります。中の金属が見えた場合にやり替える必要はあります。
- しかし、保険のプラスチック(CADCAMインレー)よりも摩耗性が高く長時間使用できます。

デメリットと考慮点
- 耐久性の低さ:
- メタルセラミックは、純粋なセラミックやジルコニアと比較すると、耐久性が劣ります。特に強い咬合力がかかる奥歯では、割れや欠けが生じるリスクがあります。
- 修復材の境目:
- メタルセラミックはかぶせ物の境目が金属の黒い部分が見えることがあり、再治療が必要になることがあります。
5. ハイブリットメタルクラウン
ハイブリットメタルクラウンとは
- 材質: 樹脂とセラミックの混合素材を使用。
- メリット:
- セラミックよりも価格が安い。
- デメリット:
- 金属を使用することが多い。
- 耐久性がセラミックに比べて劣り、経年劣化によって変色や摩耗、破折が起こりやすい。
- 保険適用外。
6. ゴールドクラウン
ゴールドクラウンとは
- 材質:金を主成分とする合金
- メリット:
- 優れた耐久性と耐食性をもち、口腔内で腐食しにくく長時間の使用でも安定する
- 生体適合性が高く、アレルギーのリスクが低い。
- 耐摩耗性がよい。
- 虫歯になることが少ない(口腔内の環境による)
デメリットと考慮点
加工の難しさ: 高度な技術が必要で、熟練の技工が求められる
高額: 今金の価値が世界的に上がっており、素材が高価なため、治療費が高くなる
審美性の低さ: 金色が目立つため、前歯には不向き
7. CAD/CAMクラウン(保険)
CADCAMクラウンとは
- 材質: CAD/CAM用のレジン。
- メリット:
- 保険適用が可能な場合があり、費用が抑えられる。
- ある程度の審美性を確保できる。(色は数種類しかない)
- デメリット:
- セラミックやジルコニアに比べて耐久性が圧倒的に低い。
- 使用すると摩耗や変色が見られることがある。
- 耐久性が低いため歯の削合量が多くなってしまう。つまり入れた後、歯がしみやすい。
- 保険導入が間もなく、とても取れやすい。
- 適合があまりよくないことが多く再度虫歯になる可能性がある。
- 部位によって使える場所と使えない場所がある。
デメリット ▶力がかかる臼歯(奥歯)には全く不向き、毎日使う「歯」としてはおすすめできない
- 耐久性の問題:
- CAD/CAMクラウンは樹脂のため、セラミックやジルコニアと比べて耐久性が格段に劣ります。使用することで、摩耗や割れが生じやすく、定期的なメンテナンスや再治療が必要になることがあります。
- 変色のリスク:
- 樹脂系素材は、時間の経過とともにとても変色しやすい傾向があります。特にコーヒーや紅茶、タバコなどの着色成分にさらされると、歯の色と違和感が出てくることがあります。審美性を長期間保つのが難しいかもしれません。
- 接着力の低さ:
- CAD/CAMクラウンは、他のセラミックなどに比べて接着力が低いです。そのため、クラウンが脱離するリスクがあるため、再接着や再治療が必要になる可能性があります。
- 審美性の限界:
- 審美性にこだわる患者にとっては満足度が低いことが多いです。
- コストパフォーマンス:
- 保険が適用される場合もありますが、再治療における保険外での治療費用を考えると、耐久性や審美性に優れた他のインレーに比べて、コストパフォーマンスが低いと感じる場合が多いかもしれません。またやり直すため時間がかかることがあります。
8. 銀合金クラウン(保険)
- 材質: 銀合金(金銀パラジウム合金など)。
- メリット:
- 保険適用のため、費用が抑えられる。
- 強度が高く、長期間使用できる。
- デメリット:
- 審美性が低く、金属色が目立つ。
- 金属アレルギーのリスクがある。
- 熱伝導率が高いため、温度変化に敏感。
- 虫歯になりやすい。
特徴 ▶昔からある材料、奥歯には保険CADよりよい
- 強度と耐久性:
- 金銀パラジウム合金は、非常に高い強度と耐久性を持っており、咀嚼力が強い部位でも長期間使用することができます。このため、奥歯のインレーやクラウンとしてよく使用されます。
- 保険適用:
- この合金は日本の公的医療保険の適用を受けることができ、比較的安価で治療を受けることができます。費用が抑えられるため、経済的な負担が少なく、広く普及しています。
- 加工のしやすさ:
- 金銀パラジウム合金は加工しやすい素材で、歯科医師が迅速かつ正確に治療を行うことが可能です。
デメリット
- 審美性の低さ:
- 最大のデメリットは、見た目にあります。銀色の金属が目立つため、特に笑ったときや口を開けたときに審美的に劣ると感じる患者が多いです。前歯には不向きで、奥歯に使用されることがほとんどです。
- 金属アレルギーのリスク:
- 金銀パラジウム合金に含まれるパラジウムは、アレルギーを引き起こす可能性があります。金属アレルギーを持つ患者の場合、使用が適さないことがあります。
- 熱伝導率の高さ:
- 金属は熱を伝えやすいため、冷たいものや熱いものを口に入れた際に、歯が敏感に反応しやすいことがあります。これにより、歯がしみる症状が出ることがあります。
- 腐食のリスク:
- 長期間使用することで、口腔内の唾液や食べ物に含まれる酸により、金属が腐食するリスクがあります。これにより、周囲の歯ぐきが黒ずむこともあります。
- 長期間使用することで、口腔内の唾液や食べ物に含まれる酸により、金属が腐食するリスクがあります。これにより、周囲の歯ぐきが黒ずむこともあります。
9. 前装冠クラウン(保険で前歯のみ)
- 材質: 銀合金(金銀パラジウム合金など)とレジン。
- メリット:
- 保険適用のため、費用が抑えられる。
- 咬む面が金属の為ある程度強度が高く、長期間使用できる。
- デメリット:
- 審美性が低く、金属色が目立つ。根本が黒くなりやすい。
- 金属アレルギーのリスクがある。
- 熱伝導率が高いため、温度変化に敏感。
- 虫歯になりやすい。
- 咬む力でレジンが割れる可能性がある。
特徴 ▶昔からある材料、前歯には保険CADよりよい
- 強度と耐久性:
- 金銀パラジウム合金は、非常に高い強度と耐久性を持っており、咀嚼力が強い部位でも長期間使用することができます。このため、奥歯のインレーやクラウンとしてもよく使用されます。
- 保険適用:
- この合金は日本の公的医療保険の適用を受けることができ、比較的安価で治療を受けることができます。費用が抑えられるため、経済的な負担が少なく、広く普及しています。
- 加工のしやすさ:
- 金銀パラジウム合金は加工しやすい素材で、歯科医師が迅速かつ正確に治療を行うことが可能です。
まとめ
それぞれのクラウンは、使用する材料の特性や患者のニーズに応じて選択されます。審美性を重視する場合やアレルギーの有無、費用なども考慮し、適切な選択をすることが重要です。
お気軽に担当医にご相談ください。